第34回 「妹への密書」その2

こんなに原作(=宮尾本)が生かされたのは久しぶりではないでしょうか。細かい設定はいじっているようですが。


宮尾本

  • 平家と源氏の戦を見に来たお徳。関係ないですが、宮尾本によるとお徳は300年生きるつもりらしいですよ!
  • 安徳天皇守貞親王の取りかえ。ドラマでは帝が敵の手に渡ったら何をされるかわからない、というところに重点が置かれているのに対し、原作では皇統の中の平家の血筋を絶やしたくない、というところが強調されている気がする。血筋を残すことを主要因とすると、平家は利己的だ、ととられるからだろうか。
  • 義経が能子に送った手紙の内容はほぼ同じ。ただ、宮尾本では常盤は生きているし、義経の同母兄や異父弟も出ているので、「いつの日か同腹四人、母を囲んで和やかに語り合おう」と結んでいる。ちなみに、原作では現代語調の文体です。
  • 主上取りかえのことを知った能子が領子によって炭小屋に閉じ込められるところ。

村上本

特になし。



宮尾本の他のエピソードはかなり無視されている、ということを考えると、主上取りかえはきっと宮尾氏がこだわったところなんだろうな。100歩譲って原作どおり平家が主役なら、主上取りかえは「ああ、平家の意地なんだな」とまだ納得できるけど、このドラマの主役は源義経なので、「なんでこんなに平家の言い分を聞かないといけないんだろう」と思ってしまうんだよね…。壇ノ浦、どうなるんだろう。