第30回 「忍び寄る魔の手」

「忍び寄る魔の手」って、なんだかすごいサブタイトル。


面白かったところ

  • 後白河法皇平幹二朗)の源義経滝沢秀明)に対する篭絡ぶりがすごい。「母親の弔いをしたい」だとか、「争いのない平和な世を」とか、義経の弱点を突きまくりじゃないですか。良く考えれば、本心はともかくとして、法皇こそが義経の心を一番理解している気がする。偉い人をすぐに父親認定する義経が、あの流れでなぜ法皇を父と慕わないのか不思議に思った。
  • 舞台を都・鎌倉に絞ったのは良かった。
  • 錯乱してしまった大姫(野口真緒)。

微妙だったところ

  • 何を考えているかさっぱり分からない源頼朝中井貴一)と、ただの悪妻になってしまいそうな北条政子財前直見)。夫婦仲も冷え切っていて、なんだか嫌な印象。
  • 朱雀の翁(梅津栄)に都の取締りを頼む義経。盗賊があっさり納得したのが疑問だった。義経役をもう少し貫禄のある人が演じていたら説得力があったかもしれない、と思いながら見てました。

がっかりしたところ

  • 萌(尾野真千子)の出番がまた数秒……。
  • しかも、妻を娶ることに対して文句を言ううつぼ(上戸彩)。うつぼなんかに言われたくないよね。
  • 頼朝が、屋島にいる平家追討の総大将を義経に任じるところ。「試練じゃ」っていってたけど、試して平家に都とられたらどうするつもりだったんだよー!
  • しかも、前のシーンでは頼朝は北条家のことについて悩んでいるよね。なのに、なんでいつの間にか義経のことに話がすりかわっているの? 「北条も義経も、同じ身内」ってことが言いたいのかなあ。でも、北条と義経のことを一緒くたに出来るんだろうか。

ここ数回を見ていると、「朝廷に弄ばれる義経と、そんな弟を心配する頼朝」ってことが言いたいのかなって思ったんだけど……その言いたいことをうまく表現できていない気がする。今に始まったことじゃないけど。この大河は「人間・頼朝」を描いているみたいだけど、今の頼朝は頭が悪いくせに人に情けをかけないせいか、「悪役・頼朝」より印象が悪いよ。義経も兄があれだから良く見えるだけで、これと言って惹かれる要素がないし。はあ…。


【追記】今回の原作比較はなしです。宮尾本、村上本にも元ネタがなかったので。