最終回 「愛しき友よ」まとめ

新選組近藤勇を局長とした組織。そこから山南が切腹し、平助が斬り死にし、源さんが戦死し、沖田は療養へと追い込まれ、永倉・原田は離脱した。そして前回、局長である近藤が隊を離れざるをえなくなった。私の中で、近藤勇を中心とした「新選組」前回で終わり、今回は隊士達の後日談としてとらえていました。みなさんてんでばらばらのところにいたので、散漫になった印象はありますが、個人個人の感情や行動がうまい具合に着地し、風呂敷もきちんとたたまれていったと思います。とりあえずひとりずつまとめます。

永倉新八(と大村達尾)……大村達尾がまさか再登場するとは思わなかった。これは複線回収というより最終回だから一応出しとけって感じでした。でも、大村が渡世人になったという発言は興味深かった。「仇討ち」を連呼していた大村は、仇討ちを遂げてそこで燃え尽きちゃったんでしょうね。しかも、ずっと付け狙ってきた仇と同じような境遇に成り下がって…。もし近藤たちが志を遂げていたら大村みたいになっていたかも、と勝手に想像していました。永倉については、前半であっさり退場してしまったのが残念でしたが、最後のセリフは良くも悪くも実に永倉らしいな、と思いました。彼も彼なりに新選組を好いていたからこそ、後に新選組のことで奔走するんだろうな。

原田左之助(と尾形俊太郎)……今回ここが一番印象に残っています。「尽忠報国の士、天晴れなり!」のせりふを聞いて、何故か「ざまあみろ」とか「勝った!」とか、変な感情がわきました。何もできないけどできないなりに一矢報いたって感じが、『新選組!』をずっと見てきてよかった、という感情とシンクロしたみたい。原田については、もう馬賊にでも何にでもなって欲しいよ。尾形は、普段はクールなのにいきなり感情を爆発してしまうところが斎藤とかぶっているようにも思えましたが、あの笑顔でこちらの気分が爽快になりました。個人的な話ですが、自分の性格は尾形と似ているなーと思えるようなところがあったので、何故尾形が離脱したのかが少し分かる気がします。

斎藤一……一時期人斬りがどうのだの、沖田に忠告だの、迷いを見せていた斎藤でしたが、最後はかっこよく決めました。池田屋で葛山を助けた時の颯爽とした斎藤をふと思い出しました。やっぱり斎藤はこうでないと。

沖田総司……まさか、自分より先にお孝が死ぬなんて思ってなかっただろう。自分の死は受け入れられても他人の死なんて受け入れられないよね…。最後に血の海から蟻を救うシーンは、希望とも絶望ともつかぬ感じで深く考えさせられました。

土方歳三(と土方為次郎)……サイトを巡回していて、「土方を死なせてやって欲しい」の声が多かったけど、私は逆に土方はあのラストで良かったとも思ってます。いつまでも戦い続けるのが私の中の土方のイメージなので。為次郎兄さんの「何が正しくて何が間違っていたかなんて、100年200年後の者たちが決めればいい」の言葉、100年後の世界に生きる私にとってはぐっときました。賊軍とさげすまれてきた新選組が、小説となり、映像となって100年たった今こうして語り継がれてきているわけだから…。

近藤勇(と滝本捨助)……どこかのブログで「捨助が居なくても総集編は作れる」というを目にして、なるほど、と目からうろこが落ちました。捨助薩長土や見廻組、新選組と関わってきたけど、歴史の本筋には絡んでいないし、よくありがちな「ピンチのときのお助けマン」な性格ではなかったので、架空の人物にしては珍しく分をわきまえたキャラクターになってましたよね。架空人物である捨助が死ぬことによって、ドラマとしての風呂敷がたためた気がします。近藤は、素であそこまでの表情を見せてくれたら、もう言うことないです。あと、今回の予告、近藤のセリフは一切なかったけど、その代わりほとんどの人物が近藤に対する思いを述べていたんだよね。近藤は皆に愛されまくっていることを改めて実感しました。

まかりなりにも最初から最後まで大河ドラマを見たのは、10年ぶりだったりします。それまでは途中で脱落したり、ひどい時はまったく見なかったものもありました。そんな私ですが『新選組!』を見て、大河ドラマって面白い、ともう一度気づかされました。このドラマがなかったら、過去の大河ドラマを見ようなんて考えてもみなかったし、そもそもブログをやるにしてもまったく違った内容になったと思います。このドラマのおかげで、これから新選組の創作物や史料に当たるときには色々想像が膨らんで楽しめそうです。1年間こんなに楽しませてくれたすべてのスタッフ・キャストに心から感謝します。来年の『義経』も楽しめますように。