『新選組』(1969年)

昨日、NHKBS2で放送されていた映画『新選組』を見ました。浪士隊結成から近藤斬首までを2時間15分という短い時間でやっていたせいか、展開がものすごく速く感じました。芹沢鴨が暗殺されたーと思ったらあっという間に池田屋事件に行っちゃったし、鳥羽伏見が始まったーと思ったら、もう流山かーと思ったり。
でも、なかなか見ごたえがありました。脚本は色々史実を無視しているものの(河合切腹の後山南脱走、鳥羽伏見の戦いで沖田参戦等)、池田屋での音のない殺陣はかっこよかったし、前述の通り内容が詰め込まれていたので、途中だれることなく最後まで見ることができました。
では、人物別に一言ずつ。

近藤勇三船敏郎)…太刀筋が良く、また最初から大人物という風格がありました。近藤斬首シーン→即映画終了の流れはあまりにも衝撃的。
土方歳三小林桂樹)…色男じゃないし、やけに気が短くて土方っぽくない。
沖田総司北大路欣也)…病人の癖にやけにぎらぎらしていて生命力あふれていた。池田屋の時に、いったんえびぞりになってその反動で地面に向かって血をはいたのは面白かった。しかもそれを近藤に見られた時の沖田のセリフ「なんでもありません」いや、なんでもあるだろ。
山南敬助中村梅之助)…少々小太りで温厚な仙台人、という感じが滲み出ていました。隊士たちはそろいもそろって気が短い中、山南さんには癒されました。
河合耆三郎(中村賀津雄)…河合の切腹シーンで、河合が突然狂ってしまい、山南に何度も斬り付けられてしまう所は、オカルト映画を見ているような気分でした。
伊東甲子太郎田村高廣)…線が細いのは、残っている肖像画を髣髴とさせている。が、新選組に入隊したとたんあっという間に斬られてしまったので、いかんせん印象が薄い。
・有馬勝太(中村錦之助)…近藤を助命しようとし、近藤斬首の時も近藤に話しかけていた。いい人だー。
永倉新八原田左之助藤堂平助井上源三郎はっきり言って、だれがだれだか分からん。原田しか顔が判別できなかった。
芹沢鴨三国連太郎)…昼間から酒を飲み、八、一八の政変で兵士に啖呵をきってしまうような豪胆さと、酒がやめられずに自暴自棄になる弱さと、相反する特徴が良く出ていました。同じ局長の近藤が最初から貫禄があったので、死が近づくにつれて余計に弱さが出てきたのは見ていてつらかったです。