『ハチロー 母の詩 父の詩』第5回 「泣く日もあった」

二つの「死」が交差する回で、それが物凄く淋しい気持ちがした。
紅録(原田芳雄)やハチロー(唐沢寿明)の家をたらい回しにされたあげく、お金に困って女と心中した*1久(忍成修吾)。お国の為に死を覚悟して軍隊に入隊したものの、負傷して生きて戻ってしまったアイン(今井雅之)。二人とも、周囲は死ぬことなんて望んでなかったのに、一方は簡単に死んでしまい、もう一方は死のうにも死に切れなかった。その「二つの死」の描かれ方がどうにもこうにも切ない。アインはドラマでのオリキャラなんだけど、今まではいてもいなくてもどーでもいいんじゃ…と思ってました。でも、今回は「久の死」の対比として機能して、やっとドラマの中に溶け込んだかも。

歌川るり子(鶴田真由)の語りで「私は、久さんの死なんかよりも、ハチローさんが二人の女を囲っている方が心配でした」にはびっくりしたけど、るり子にとってはそっちの方が切実なんだよね。私はこのドラマの中で、そんなことを言ってのける彼女が一番好きだ。いつも不安で、誰かがいないと生きていけない。構ってほしいから、毒物にも手をだしちゃう。自分本位過ぎて、男性にも女性にも共感は得にくい人だとは思うけど。

*1:結局女の命は助かったけど